高岡銅器

経済産業大臣指定伝統的工芸品

高岡銅器は、慶長14年(1609)加賀藩主前田利長公が高岡開城後に招いた7人の鋳物師達(河内国丹南郡の技術を受け継ぐ)の手によって始まります。
当初は鉄鋳物が中心でしたが、江戸時代中頃から銅鋳物も盛んになり、明治期になると技術はさらに向上し、明治6年(1873)にウィーン万国博覧会で金森宗七が有効賞の受賞を皮切りに美術銅器は輸出品としても確固たる地位を築きました。
昭和50年(1975)には国の伝統的工芸品の産地指定を受け、発祥以来400年たった今でも新しい技法を生み出しながら、クラフトデザイン、インダストリアルデザインといった幅広い製品を手掛けております。

伝統的な鋳造法

双型鋳造法

もっとも古い技法で、円筒形や円錐形の火鉢、茶釜、梵鐘などの製作に用いられます。
原型の外型は、左右対称の断面を写しとった板を回転させて作り、次に肉厚を出すために、一回り小さな中子型を作ります。
この2つを組み合わせてできる隙間に、溶かした金属を流し込みます。

焼型鋳造法

小さくて複雑な置物から大きな銅像まで制作する技法です。粘土と和紙の繊維を調合した真土(まね)という鋳型を作り、約900℃で焼いた後、約400℃に冷ましてから、溶かした金属を流し込みます。

蝋型鋳造法

もっとも制度の高い技法です。蜜蝋(ミツバチの巣から抽出)や木蝋(ハゼの実から抽出)に松脂を煮合わせたもので原型を作り、土に包んで高温で焼くと、熱によって原型の蝋が溶け、隙間が生まれます。ここに溶かした金属を流し込みます。

生型鋳造法

高岡銅器を発展させて主力の技法です。木製または金属製の上下枠に、製品と同じ形の種型を入れ、砂を入れて押し固めます。上下枠をはずし、原型を取り出すと、砂の鋳型ができます。これに溶かした金属を流し込みます。

現代的な鋳造法

金型鋳造法(ダイキャスト)

金属製の鋳型を使用し、溶けた合金に圧力を加えて流し込み成型します。鋳肌が細かく、均質な形をつくることができます。灰皿や置物など小物の量産に適していますが、大規模な設備を必要とします。

ロストワックス鋳造法

伝統的な蝋型鋳造法とほぼ同じ原理の鋳造法です。蝋に相当するワックスの型をシリコンゴムでつくりだします。再現性の高さや鋳肌の美しさは蝋型と同様です。技術の進歩で量産化も可能です。この鋳造法は機械部品の鋳造にも利用されています。

ガス型鋳造法

焼型鋳造法の原理を応用した工法です。焼型の場合は砂鋳型を焼き固めますが、この場合は微量の珪酸ソーダー(水ガラス)を混合した砂型に炭酸ガスを通気して、科学的に硬化させて鋳型をつくります。

電鋳法

いわば厚いメッキによる工法です。メッキ槽の中で原型に通電して必要な厚みの金属層をつくります。その電着した金属層を剥がしてそこに着色や金属のメッキを施したものです。額縁に入った彫金パネルなどの記念品や贈答品などによく使用されています。